「大人になって歯並びが気になりはじめたので、矯正治療を受ける」という方が増えています。しかし、大人は成長期が終わっているために歯を動かしづらく、治療期間が長くなり費用もかかってしまいます。そのような事態を避けるために有効なのが、小児矯正です。
子供は歯を動かしやすいのでスムーズに矯正できるだけでなく、骨格もきれいにすることができます。治療期間や費用も大人の矯正に比べて抑えることができるので、メリットが多いといえるでしょう。
成長期にある子供は、特殊な装置を使って顎の骨の成長をコントロールできます。上下の顎のバランスを整えてきれいな骨格にすることで見た目もきれいになります。また、将来顎の関節を痛めるなどのケースを予防することにもつながります。
顎の骨の成長をコントロールすることで、歯を並べるためのスペースを確保することができます。これにより、子供は大人と比べて抜歯せずに矯正できる可能性が高いといえます。
子供の歯は大人に比べてずっと動かしやすいので、スムーズに歯を移動させることができます。そのため痛みが比較的少ないうえ、治療期間も短く済みます。
子供のうちに歯並びをきれいにしておくことで、大人になってから矯正治療を必要とする可能性が大きく下がります。もし必要となった場合も、治療期間が短くなる傾向にあります。
歯並びは、成長期が終わってしまうと簡単にはコントロールすることができません。
歯は「白さ」と「歯並び」がきれいであるほど相手に好印象をもたらすものですが、欧米では特にこのことが重視されているので、小児矯正を積極的に行なっています。思春期になると口元を含めた容貌への意識が高まり、その後も成人式や結婚式などのイベント、さらには仕事やプライベートなど歯並びが気になる場面が続きます。子供の歯並びを貴重な財産と捉え、将来自信をもって笑顔になれるような口元へ導いていただければと思います。
一気治療は、乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」に行ないます。年齢でいうと5~10歳くらいとなります。
この時期の子供は特に成長が盛んなため、上下の顎のバランスを調整できます。顎は歯の土台となるので、この骨格をコントロールすることで歯並びを整えやすくします。治療期間は1~3年となります。
一期治療を経て行なう治療で、永久歯が生え揃った「永久歯列期」に行ないます。時期としては中学生のころに行ないます。これは大人の矯正と同様にワイヤー装置を使って歯を動かしていくものですが、一期治療で骨格が整えられているので、スムーズに歯を並べることができます。治療期間は1~2年となります。
一期治療で理想的な歯並びとなった場合は、二期治療が必要ないこともあります。
子供の歯についてのお悩みや心配ごとをお聞きします。問診や視診で子供の歯並びをチェックし、選択肢として挙げられる治療方法や治療期間、費用などについて大まかに見立てます。
歯の状態を詳しく知るため、レントゲン撮影や歯の型どりを行ないます。
精密検査で得た資料を分析し、患者さまへ子供の歯の状態を説明します。そのうえで治療計画についてもお伝えし、ご納得いただけましたら矯正治療をスタートします。
治療計画に沿って治療を進めていきます。必要な矯正装置を装着していただき、1~2ヵ月に1度のペースで検診します。二期治療に進む場合も同様のペースで通院し、矯正の具合などを確認します。
歯が理想的な形で移動したことを確認し、矯正装置を外して矯正完了となります。
移動した歯は、元の位置に戻ろうとする習性があります。そのため、保定装置と呼ばれる器具をつけて歯が後戻りしないようにします。保定に必要な期間は1年くらいです。この間も3~6ヵ月に1度のペースで通院していただきます。歯が後戻りしないのを確認して、保定は完了となります。
歯を矯正するための一般的な装置は、金属のブラケット装置になります。ワイヤーを通すための小さなブラケットを、接着剤を使い歯に接着。全てのブラケットにワイヤーをセットし、歯に負荷をかけていきます。その後も、ワイヤーを取り替えながら歯を動かし続けます。